質問

RS-485やRS-422において、信号GNDの接続は必要ですか

 結論としては必要です。
RS-485やRS-422などの差動インタフェースでは、2つの信号の電圧の差で1か0を判定する仕組みです。
信号を受信するのは差動レシーバICの働きですが、差動レシーバICはGNDと2つの入力それぞれの電圧の差で1か0を判定しますが、
相手側のGNDの電位と、レシーバのGNDの電位が多少異なっていても通信ができます。ケーブルが長くなって信号が弱くなっても正しく通信ができる優れた通信方式です。
 しかしながら、差動レシーバICの2つの入力には絶対最大定格として同相電圧範囲というのが決まっています。
その範囲を超えると差動レシーバの入力が飽和してしまい、信号を信号として判別できなくなります。
信号電圧の差は数100mVの差があれば良いのですが、たとえば50Vと50.2Vの差が検出できるかというと、レシーバICの同相電圧範囲をこえていれば
入力回路が飽和してしまい、50Vと50.2Vの差は検出できません。
(実際にはレシーバICの特性によりもっと低い電圧で飽和すると考えられます)
また当社製品を始め、工業用の変換器では、信号ラインを保護するための過電圧保護素子が追加されています。
その保護素子の電圧を超えると信号はクリップされますので、信号が信号として伝わらなくなります。
通信ラインを長い距離で延長した場合に、両方の機器のGND間に大きな電位差を生ずることが少なくありません。
そのような場合でも通信するためには、通信ラインだけでなく、信号GNDも確実に配線する必要があります。

 両方のGNDが確実に大地アースされているような場合(つまり機器間の電位差がきわめて小さい場合)は信号GNDの接続なしで通信ができることになります。これはたまたまです。

※現場での電位差は、商用電源の交流である場合が多く、その場合は通信ができるタイミングとできないタイミングが発生することになります
※相手側の機器で、GNDが用意されていない機器が存在します。そのような場合は、その機器のFGなどを利用する他ありません
※非絶縁型の変換器では、GNDが完全に分離されていないため、信号線だけで通信ができてしまう場合が多いようです
※信号線への保護素子が無い場合は電位差がかなりあってもGND無しで通信できるかも知れませんが、ICへのストレスがかかります


[kw] USB-003 USB-010 RS485 RS422 FAQ-FA


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